- 作成日:2024.02.09
- 更新日:2024.02.09
不動産テックとは? 注目される背景やメリットを解説
不動産テックという言葉を耳にする機会が増えたものの、どのような意味なのか、なぜ注目されているのかを詳しく理解している方は少ないかもしれません。
本記事では、不動産テックの概要や注目されている背景、導入によって得られるメリットなどを解説します。
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この記事の監修者
不動産転職ルート 編集部
不動産業界専門の転職エージェント「不動産転職ルート」の編集部です。不動産業界での転職活動やキャリアに役立つ記事を更新しています。
目次 INDEX
不動産テックとは
不動産業にテクノロジーを活用したビジネスモデル
不動産テックとは、ITツールやビッグデータ、デジタル技術などのテクノロジーを不動産ビジネスに活用し、新たな価値やビジネスモデル、サービスの創出を実現する取り組みです。
たとえば、VRを使った内見の実施やAIによる物件価格の査定などが挙げられます。
なお、不動産テックは「一般社団法人 不動産テック協会」によって以下のように定義づけられています。
「不動産テック(Prop Tech、ReTech:Real Estate Techとも呼ぶ)とは、不動産×テクノロジーの略であり、テクノロジーの力によって、不動産に関わる業界課題や従来の商習慣を変えようとする価値や仕組みのこと」
さまざまなテクノロジーの活用によって、不動産売買や賃貸、管理、投資、仲介といった業務、サービスに革新をもたらすことが可能です。不動産テックは不動産事業を営む企業と消費者の双方にメリットがあります。
参考:一般社団法人不動産テック協会「不動産テック カオスマップ」
発祥はアメリカの企業
不動産テックの先駆者と言われているのが、アメリカで事業を営むベンチャー企業「Compass」です。不動産仲介を中心にビジネスを展開していた同社は、2012年に設立されて以来、不動産事業へ積極的にテクノロジーを活用してきました。
主に同社が手がけたのは、中古物件売買プラットフォームの構築と運営です。優れた人材とテクノロジーの活用によって、シームレスな物件の検索と売買、仲介を実現しました。こうした取り組みが功を奏し、会社設立からわずか4年で評価額10億ドルを超える企業に成長しています。
その後、アメリカ国内で不動産テックにさらなる注目が集まり、多くの企業が取り組みを開始します。その余波は中国まで波及し、2019年ごろには日本でも広がりを見せるようになりました。
不動産テックが注目される背景
日本では国をあげてDXを推進しています。少子高齢化に伴う人口の減少や労働力不足は、国力の低下に直結するためです。デジタル技術を活用した業務効率化や新たな価値の創出といったDXの取り組みは、不動産テックに通じるところがあり、相性がよいため注目されています。
海外の先進国と比べると、日本はDXも不動産テックも遅れをとっている状態です。2010年ごろから不動産テックが広まり始めたアメリカに比べ、日本で認知され始めたのは近年のことです。
また、不動産業界のDXが進まないことによって、不動産情報の透明性が担保されなかったり、データベースの不備が生じたりといった問題が指摘されているのも、不動産テックに注目が集まるひとつの理由です。
不動産テックを導入するメリット
不動産テックの導入は、不動産事業を営む企業組織だけでなく、不動産を求める消費者にも多大なメリットをもたらします。
具体的なメリットは、情報の透明性向上や不動産取引の活性化、業務効率アップの3つです。
情報の透明性が上がる
日本の不動産業界では、長らく情報の不透明さが問題視されてきました。
たとえば、実際にはすでに契約が締結されており販売できない物件を、さも存在するかのように扱い集客に用いる「おとり広告」が挙げられます。
おとり広告は、顧客を偽り騙す行為です。容易にさまざまな情報を取得可能な現代では、こうした広告を用いて集客を行う不動産企業が存在することを消費者も理解しています。おとり広告のみならず、情報の不透明さが消費者からの信頼を失うことに直結しているのは火を見るよりも明らかです。
不動産テックを導入すると、これまで不動産企業しか取得できなかった詳細な情報や、消費者の口コミをはじめとした客観的な情報の提供も可能です。その結果、透明性の高い情報を消費者へ提供可能となり、満足度の向上や信頼関係の構築に繋げられます。
不動産取引の活性化に繋がる
不動産テックの導入によって、これまで対面形式で行っていたさまざまな業務をオンラインで行えます。
たとえば、物件の紹介や内覧、契約といった業務が該当します。
従来、物件の紹介や内覧、契約などは顧客が店舗へ足を運ぶケースが一般的でした。物件探しや内覧、契約のたびに顧客は時間を割く必要があり、多大な手間がかかります。
一方、不動産テックを導入すると、これらの業務をオンラインで行えるため、顧客の手間を減らせます。不動産事業を営む企業からしても、取引に際して時間や場所の制限を受けなくなるため、より多くの顧客へ対応可能となり、不動産取引の活性化に繋げられる点がメリットです。
業務効率の向上が見込める
不動産テックの導入によって、業務の自動化や簡略化を実現でき、業務効率化を実現できます。
たとえば、顧客情報を一元管理できるシステムを構築すると、求める情報へ迅速にアクセスでき、システムごとに情報を二重登録するなどの無駄な作業を削減可能です。
また、RPAやAIなども活用すると、これまで人の手で行っていた定型業務や単純作業を自動化できます。単純作業に割いていた人員をコア業務へ配置でき、限られた人員でこれまでと同様、もしくはそれ以上の成果をあげられるため、生産性の向上に繋がるのもメリットです。
不動産テックの導入には相応のコストがかかるものの、長い目で見るとコストダウンが期待できます。効率的に業務を遂行できる環境が整うと、少ない人員で業務をまわせるようになり、人件費を削減できるためです。
不動産テックの代表的なサービスの種類10選
1. 物件情報・メディア
近年では、さまざまなメディアを介した不動産情報の提供を行う企業が増えました。実際、インターネット上では物件情報を提供する数多くのポータルサイトが運営されています。
インターネットを利用した物件情報の提供によって、不動産の購入や賃借を希望する人は迅速に求める物件を探せるようになりました。また、企業側は対面で対応する頻度を減らすことができ、業務負担の軽減や業務効率の向上に繋がる点が魅力です。
不動産に関するさまざまな知識を得られるWebサイトも登場しています。たとえば、マンション探しのコツや売買に役立つ知識を提供している媒体のほか、不動産投資を学べるWebサイトなどがあります。
2. 仲介業務支援
不動産の売買や仲介といった業務を支援するサービスです。
集客や顧客対応、契約など各アクションに特化したサービスも存在します。
たとえば、オンラインで物件の内覧ができたり、メールやLINEで取引を完結できたりするサービスが代表的です。物件を買いたい、借りたいと考える人にとっては大幅に手間を軽減でき、企業側も効率的な集客と対応が可能です。
物件確認自動音声対応ツールを利用するケースも増えてきました。物件確認の問い合わせに対して24時間365日体制で自動応答できるシステムです。物件確認に要する時間の短縮や業務負担の軽減、営業時間外や休日に寄せられる問い合わせの取りこぼし削減など、さまざまなメリットを得られます。
3. 管理・アフター業務支援
不動産管理会社で行うさまざまな管理・アフター業務をサポート可能なサービスです。
たとえば、システムによる顧客や物件情報の一元管理、新たな入居者の募集、発生したクレームへの対応、未納賃料の回収業務などのサポートが該当します。
システムやサービスによっては、請求収納管理や水道の検針管理、外部データベースとの連携なども可能です。管理やアフター業務は管理会社の基幹業務であるため、ツールやサービスによってこれらの業務を効率化できると、大幅なコストダウンと生産性の向上に繋がります。
4. スペースシェアリング
スペースシェアリングとは、空いている土地や家屋などをオンラインで貸し出し可能なサービスです。
インターネットの発達に伴い普及したサービスのひとつであり、Webサイトを介して空いた土地を短時間だけ貸し借りする、といったことが可能になりました。
不在にしている時間だけ自宅の駐車場を貸し出すシェアパーキングや、長らく使用していない空間をレンタルオフィスとして提供するなどが代表的です。
スペースシェアリングのマッチングサービスが登場したことで、使っていない不動産を有効活用したい人と、求める時間だけ土地や建物を使いたい人を結びつけることが可能となり、双方にウィンウィンの結果をもたらしています。
5. 不動産クラウドファンディング
近年では、Webサイトを介して行う不動産クラウドファンディングにも注目が集まっています。
不動産クラウドファンディングサイトは、オンラインで複数の投資家から資金を調達し、オンラインファンドが購入した物件の家賃収入を投資家へ分配します。
個人で不動産投資を行うとなると、相応の資金が必要です。一方、不動産クラウドファンディングなら、1万円など少額からの投資が可能であり、なおかつ利回りが高いメリットもあります。
また、アパートやマンション物件を購入して運用する場合、各種手続きや運用管理といった手間も発生しますが、不動産クラウドファンディングならその心配もありません。資金を調達する企業としても、不特定多数の投資家から資金を集められることからビジネスチャンスを拡大できるメリットを得られます。
6. 不動産VR・AR
不動産業界でも、VRやARといった先端技術の活用が進んでいます。
たとえば、まるでその場にいるような感覚で物件を内見できるオンライン内見や、画像のなかに家具を配置して生活イメージを抱いてもらうといった活用が挙げられます。
不動産VRやARの活用によって、顧客はわざわざ現地へ足を運ぶ必要がなくなる点がメリットです。自宅や不動産会社の店舗から物件の内装や間取りなどを確認でき、短時間でいくつもの物件を内見できます。
不動産事業を営む企業としては、業務効率化やコスト削減に繋がる点が魅力です。内見を希望する顧客を伴い、いくつもの物件へ足を運んだにもかかわらず、結局契約に結びつかなかった、といったケースは珍しくありません。
現地へ行かず内見が可能になれば、こうした手間を削減でき成約までのスピードが上がるため、生産性の向上やコストダウンに繋がります。
7. IoT
IoTとは、モノとインターネットの接続によって提供できるサービスです。
たとえば、専用のアプリなどを用いて外出先から電源をオン・オフできる家電やセンサーで体のコンディションを把握できるウェアラブルデバイスなどが挙げられます。
不動産業界でもIoTの活用は進んでいます。代表的なサービスのひとつがスマートロックです。物理的な鍵を使わず、スマートフォンで鍵の開閉を行えるため、鍵の閉め忘れや紛失などの防止に繋がります。
ネットワークカメラを用いた住宅内のモニタリングも可能です。ネットワークカメラを室内に設置すると、外出先から室内の状況をチェックする、録画するといったことが可能であり、防犯面の強化に繋がります。
8. 物件価格の可視化・査定
取引相場などの各種データを収集し、物件価格の可視化や査定を行えるサービスです。
収集したデータの分析によって、顧客は求める物件の価格や賃料などを確認できます。
物件価格の可視化によって、情報の透明性を確保できる点がメリットです。物件を求める人は市場価値を正確に把握でき、適正な価格で物件の購入や賃借が可能です。将来的な価格の見通しも算出できるため、収益管理にも役立ちます。
また、不動産事業に携わる企業も、データに基づく正確な情報を入手できるため、物件の市場価格などを調査しやすくなるメリットを得られます。
9. ローンや保証の比較・シミュレーション
住宅ローンの返済額や借入可能額、諸費用などをオンラインでシミュレーションできるサービスです。
一定の条件を入力するだけで容易にシミュレーションを行えるため、不動産の購入を検討している人は無理のない借入、返済の計画を立てられます。
サービスによっては、複数の返済プランや保証を比較したり、複数ローンを組み合わせて利用した場合の返済額などを試算したりといったことも可能です。
住宅ローン返済額や繰り上げ返済額の試算は複雑であるため、素人では簡単に行えませんでした。
IT技術の活用によって、不動産を求める人が容易に住宅ローンや保証に関する情報を入手できるようになり、購入の促進に繋げられる点が魅力です。
10. 各種マッチングサービス
不動産関連のマッチングサービスにも注目が集まっています。
たとえば、不動産業界に特化した転職支援サイトや、リフォーム工事を検討している顧客と業者をマッチングさせるサービスなどが挙げられます。
不動産を売りたい人と買いたい人をマッチングさせ、直接商談できるサービスも誕生しました。当事者同士で直接やり取りを行えるため迅速な取引が可能であり、希望価格で売買できる確率も高まります。
不動産テックで活躍する上場企業
全国に100店舗以上を展開している「株式会社 カチタス」は、不動産テックを導入して積極的に事業を営んでいる企業のひとつです。
同社では自社リフォームを前提とした中古住宅の売買を行っており、利用者は物件情報や月々の支払い目安などの詳しい情報をインターネットで確認できます。
マーケティングやデジタルメディア事業を営む「バリュークリエーション 株式会社」も、不動産テックで活躍している企業です。同社は不動産DX事業も営んでおり、建物解体費用の相場や最安値を業界初の逆オークション形式で把握できるサイトを運営しています。
不動産マッチング事業を営んでいるのが「株式会社 ランディックス」です。東京都の城南エリアを中心とした、地域密着型のマッチングサービスを提供しており、希望の条件にマッチした物件の紹介やコンサルティングを行っています。
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不動産テック導入における今後の課題
不動産テックを導入するには、自社として不動産テックに関する知識を得るのはもちろん、業界全体の環境や制度づくりも欠かせません。
一社だけが積極的な取り組みをしても意味がないため、業界全体で足並みをそろえることが大切です。
不動産テックを正しく理解することも大切です。不動産テックは、導入してすぐに利益が拡大するような取り組みではありません。
また、利益を上げるのはあくまでも従業員です。従業員の業務が円滑に進むようにサポートした結果、不動産取引の活性化や業務効率化、新たなビジネスモデルの創出などに繋げるのが不動産テックです。
このことを理解しないままやみくもに導入しても利益の向上には繋がりません。
そのうえで、自社で導入する目的を明確にしましょう。それにより導入すべきツールや技術などが変わってきます。
まとめ
日本における不動産テックの認知度はまだまだ低いものの、今後はさらなる広がりを見せると予想されています。
不動産テック企業の将来性も明るいため、興味がある方は転職を視野に入れてみてはいかがでしょうか。
不動産テック企業への転職を検討しているのなら、不動産業界専門の転職エージェントを利用することも選択肢に加えてみましょう。
この記事の監修者
不動産転職ルート 編集部
不動産業界専門の転職エージェント「不動産転職ルート」の編集部です。不動産業界での転職活動やキャリアに役立つ記事を更新しています。