- 作成日:2024.02.08
- 更新日:2024.02.09
不動産業界にDXが求められる理由| メリットや課題・事例を紹介
デジタルトランスフォーメーション(DX)の波は、今や不動産業界にも押し寄せています。多くの業界で進行するこのデジタル変革は、なぜ不動産業界にも求められているのでしょうか。
本記事では、不動産業界におけるDXの必要性やメリット、課題、そして実際にDXを推進している企業の事例を紹介します。DXに関心があり、不動産業界への転職を検討している方はぜひご参考にしてください。
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この記事の監修者
不動産転職ルート 編集部
不動産業界専門の転職エージェント「不動産転職ルート」の編集部です。不動産業界での転職活動やキャリアに役立つ記事を更新しています。
目次 INDEX
不動産業界にDXが求められる3つの理由とは
デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、デジタル技術を活用してビジネスプロセスやサービスを抜本的に変革する事です。
近年、多くの業界でDXが進む中、不動産業界でもDXに取り組む企業が増えつつあります。
では、不動産業界にDXが求められる理由には、どのようなものがあるのでしょうか。
1. 他業種のDXに後れをとっている
一般に不動産業界は、他の業界に比べてDXが遅れているとされています。
たとえば、不動産業界では今でも契約書類などのペーパーレス化が進んでいない事が多く、物件の内見といえば、現地へ訪れて対面で行う事が基本です。
総務省の情報通信白書で業種別にDXの取り組み状況を確認すると、「不動産業」では56.0%が「実施していない、今後も予定なし」と回答しています。
取り組みが進んでいる「情報通信業(通信業)」の32.1%や「金融業、保険業」35.7%などと比べて意識が低い事がわかります。
従来の方法が必ずしも駄目なわけではありません。しかし、他業種が積極的にデジタル技術を活用して業務効率化や顧客の利便性向上に取り組んでいる中、不動産業だけが従来の方法に固執するのは、従業員と顧客双方の満足度を低くする事にもなりかねません。
このような状況下で、他業界とのギャップを埋め、競争力を高めるためにもDXは不可欠な課題となっています。
2. 長時間労働により人材が不足する恐れがある
常態化している長時間労働を是正する必要がある事もDXが求められる理由です。
不動産業界は他業界に比べて長時間労働が多い傾向にある事がしばしば指摘されています。これは不動産業の仕事が顧客の都合に左右されやすい性質を持っているだけでなく、対面・手作業に頼った非効率的な業務方法が多い事が一因です。
日本では少子高齢化によって、人材不足が深刻化しつつあります。このような中、不動産業界がDXによって業務効率化を図る事は、人材不足のリスクを軽減し、従業員の働きやすさを改善するためにも必要不可欠です。
たとえば、契約プロセスのデジタル化や、物件情報のオンライン管理などは、業務のスピードアップだけでなく、従業員の負担軽減にもつながります。「長時間労働が多い業界」というイメージを薄める事は、今後ますます激化していく他業種との人材獲得競争で優位に立つためにも重要です。
3. 顧客ニーズの多様化へ対応する必要がある
価値観の多様化が進む近年、顧客のニーズは不動産業界でも大きく変化しています。
たとえば、物件選びに関しても、新築物件だけでなく中古物件やリノベーションに対する需要が高まっています。このような顧客ニーズの多様化に対応するためには、データ分析やパーソナライズされたサービス提供が重要です。
これには、デジタル技術の活用が不可欠であり、DXを進める事で顧客の細かい要望に応え、満足度の高いサービス提供が可能になります。オンラインでの物件検索やバーチャル内見、AI分析に基づく各顧客のニーズや好みにあわせた物件のレコメンドなどが具体例です。
不動産業界がDXを進める事で得られるメリット
前述のように、不動産業界におけるDXの必要性は高まっています。
実際にDXを進める事で、業界・企業はどのようなメリットを享受できるのでしょうか。
業務の効率化
まず挙げられるメリットは、業務効率化です。
DXを推進する事で、今まで手作業で行っていた多くのプロセスが効率的になります。
たとえば、帳簿の作成や物件情報の入力作業などは、RPAで自動化する事で大幅な時間短縮が可能です。これにより、従業員は煩雑な事務作業から解放され、より重要な業務に集中できます。
人材不足解消
これまで複数人あるいは長時間かけて行っていた業務も、ツールの活用によって自動化・効率化する事で、より少ない労力でこなす事が可能です。これによって人材不足の解消が期待できます。
また、これまで属人化していた業務もシステムに落とし込む事で、新入社員や未経験者でもすぐに対応可能です。労働時間や新人の育成期間の短縮、ワークライフバランスの改善、人材の定着率向上など数多くのメリットが期待できます。
顧客満足度の向上
顧客満足度の向上もDXに期待できる効果です。
デジタル技術の活用により、顧客の多様なニーズに柔軟に対応しやすくなります。
たとえば、オンラインでの物件内見や、Webやアプリ上での契約を可能にする事は、多忙な顧客や遠方に住む顧客の利便性を非常に高める取り組みです。
このように、DXは顧客体験を改善し、顧客と長期的かつ良好な関係を築く事に寄与します。
コスト削減
DXの効果はコスト削減にも及びます。
まず、業務の自動化によって、労働時間の短縮を進める事で、人件費の削減が可能です。
また、契約書類や物件情報などの膨大な資料をデジタル化(ペーパーレス化)する事で、紙資料の保存や管理にかかるコストを大幅に削減できます。
さらに、定型的な単純業務を自動化する事で、従業員はコア業務によりリソースを割けるようになるので、生産性向上も可能です。
ビジネスモデルの創出
デジタル技術の活用は、従来のビジネスモデルを超えた新しいサービスや付加価値を生み出す可能性があります。
たとえば、近年広がりつつあるスマートホームやXR技術を用いた物件案内などはその好例です。これらの新しい手法は、顧客体験や市場に新しい価値、新しい需要を生み出し、不動産業界の成長可能性を広げています。
デジタル技術の活用によって既存の方法や価値観から脱却し、新しいビジネスモデルを創出する事はDXの本懐のひとつです。
不動産業界のDXにおける課題
不動産業界においてDXを成功させるにあたっては、しばしば以下のような課題に直面します。
まず、DXには時間とコストが欠かせません。新しいシステムや技術を導入するための初期投資はもちろん、それらを効果的に使いこなすために従業員の研修を行ったり、業務プロセスを再構築したりする事が必要です。
また、不動産業界ではアナログな商慣習が長年根付いているため、DXによる新しい業務スタイルが従業員に受け入れられない恐れもあります。経営者自身がDXへの理解が浅く、必要性を感じていない事も珍しくありません。
このため、DXを推進するには、経営者を含め全社的にITリテラシーを高め、新しい技術や方法を積極的に受け入れていく組織文化を醸成していく事が重要です。
このように、DXは単に新しい技術を導入するだけでなく、組織文化や業務プロセス、従業員の意識変革も伴う取り組みであり、試行錯誤しながら長期的な姿勢で進める必要があります。
不動産業界がDXを成功させるためのポイント
上記のような課題を克服し、DXを成功させるためには戦略的なアプローチが求められます。
そのためには、以下のポイントを押さえて施策を進める事が重要です。
DXを目指す目的を明確にする
DXを実施する際には、最初にその目的を明確にする事が重要です。
「他の企業もやっているから」「AIが話題になっているから」といった曖昧な認識でツールを導入するだけでは、大きな成果を上げる事は望めません。
そのため、まずは社内の具体的な課題や目標、ビジョンを明確にし、それらをデジタル技術でどのように解決できるかという順番で考えましょう。
主な課題としては、業務効率化、コスト削減、顧客満足度の向上などが考えられます。また、課題とあわせて定量的なKPIを設定し、DXの進捗状況や成果を客観的に検証しやすくする事も重要です。
DXに適した人材を確保する
DXを成功させるためには、デジタル技術に関する深い知識とスキルを持った人材の確保が欠かせません。
社内で必要な人材をそろえる事が困難な場合は、社外からITに長けた人材を招いたり、他の企業や外部の専門家に協力を仰いだりする必要があります。
ただし、導入したシステムや新しい業務プロセスを実際に使用していくのはあくまで自社の人材です。
そのため、ツールの使い方や基本的なITリテラシーなどに関しては既存の人材を教育する必要があります。長期的な目線で見れば、社内の既存人材を専門的なDX人材に育成するための仕組みや環境を構築する事も要検討です。
目的に合ったシステムを導入する
自社の目的に合致した適切なシステムの選定はDX成功の鍵を握ります。
これは、DXの目的とは単に最新の技術を導入する事を意味するのではなく、自社の具体的な課題の解決にあるためです。
そのため、自社の課題を明確にした段階で、その課題解決のために必要な機能やその優先順位なども特定し、それに沿って最適なシステムを選定する必要があります。
また、従業員にとって使いやすいシステムかも重要な要素です。いくら高性能なシステムでも、使いにくければ従業員はその使用を避けるようになり、結局は元のやり方に戻ってしまいかねません。
その他では、コストが予算内に収まるか、セキュリティやサポートは信頼できるか、既存システムと連携できるかなども考慮すべきポイントです。
不動産業界におけるDXの成功事例
DXの重要性や効果、取り組みの進め方を知るためには、他社の成功事例に学ぶ事が役立ちます。
そこで以下では、大手の不動産業者のDX成功事例を紹介します。
三井不動産の事例
三井不動産は、DX推進のために専門のDX本部を立ち上げ、全社的な事業変革と働き方改革を目指しています。
同社ではこの取り組みの一環として、独立して運用されていた決裁システムと会計システムを含む様々なシステムを、クラウド型システムに統合しました。このシステム統合は、ビジネスプロセスの再設計とペーパーレス化、モバイル化、脱ハンコといった施策とあわせて行われ、受発注業務および会計業務の効率化に大きく貢献しました。
具体的には、業務時間を約35%(約5万8,000時間)削減する事に成功しています。
さらに、スマートシティやスマートオフィスなど、デジタル技術を活用した環境づくりにも積極的に取り組んでおり、DXを通じた事業の多角化とイノベーションを推進しています。
東急不動産の事例
東急不動産は、2030年に向けた長期的ビジョンを事業・組織の枠を超えてグループ全体で策定し、その実現に向けた施策としてDXを推進しています。
不動産部門での具体的な取り組みとしては、年間約1万5,000時間の作業削減効果を見込める「マンション価格査定AI」の導入が挙げられます。
このAIシステムは、実際の査定データとデータサイエンスを活用し、精度の高い価格査定を実現するものです。この技術を活用する事で、査定業務の大幅な時間削減を実現し、従業員の労力をより付加価値の高い業務に充てる事が可能になります。
さらに、東急不動産はシフト作成の自動化やビル点検業務のIT化といった他の業務領域においてもDXを進めています。同社のこうした取り組みは、「DX銘柄2023」にも選定されるなど、業界内外で高く評価されています。
プロパティエージェントの事例
プロパティエージェントもまた、DXを推進する優良企業として「DX銘柄2023」に選定されています。
同社は、システム導入によるリアルタイムな意思決定を推進し、1人当たりの生産性を1.8倍に向上させる事を達成しました。その鍵となるのは、全システムのクラウド化です。この取り組みにより、月間1,000時間以上の工数削減と1.5倍以上の処理件数の増加を実現しています。
さらに、プロパティエージェントはペーパーレス化にも力を入れており、紙書類の90%を電子化し、従来は紙ベースで行っていた査定作業もAIによって半自動化しました。
これにより、資料保管のために90基以上あったキャビネットは7基にまで減り、残業時間の300時間以上の削減や、1人当たりの生産性の2.2倍向上など特筆すべき成果を出しています。
まとめ
他業種に比べてアナログな業務が多く残っている不動産業界ですが、人材不足や多様化する顧客ニーズに対応するためにはDXを積極的に推進していく事が重要です。
近年では、DX化を推進している企業が増えています。
自分に適した企業選択をお悩みの方は、転職エージェントの利用を検討してみましょう。
この記事の監修者
不動産転職ルート 編集部
不動産業界専門の転職エージェント「不動産転職ルート」の編集部です。不動産業界での転職活動やキャリアに役立つ記事を更新しています。