やらないよりはやって後悔したほうがいい!自分の変化に目を向けて成長しよう【筑波大学・尾野裕美准教授】
筑波大学の准教授として勤務をされている尾野裕美准教授に、現在の業務やこれまでのキャリア形成の過程に関して、インタビューさせていただきました。

・日本製粉株式会社(1998/4~2001/5)
・株式会社インテリジェンス(2001/6~2003/3)
・株式会社インテリジェンス(2004/1~2005/3)
・株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(2006/11~2009/2)
・筑波大学/キャリアカウンセラー(2012/12~2015/3)
・関東学院大学/非常勤講師(2013/4~2015/3)
・筑波大学/非常勤講師(2013/4~2025/3)
・筑波大学/非常勤研究員(2024/11~2015/3)
・横浜商科大学/商学部商学科/専任講師(2015/4~2017/3)
・明星大学/心理学部心理学科/准教授(2017/4~2023/3)
・筑波大学/人間系/准教授 (2023/4〜)
【受賞歴】
・筑波大学大学院 人間総合科学研究科 生涯発達科学専攻長賞 (2014/3)
・日本キャリア・カウンセリング学会第29回大会 個人研究発表優秀賞(2024/11)
目次
所属大学における業務内容・役職・役割を教えてください
筑波大学では、教員組織と教育組織がそれぞれ分かれていて、私は人間系という教員組織に准教授として属しています。
東京キャンパスで、社会人大学院の人間総合科学学術院人間総合科学研究群「カウンセリング学位プログラム(博士前期課程)」と「カウンセリング科学学位プログラム(博士後期課程)」という教育組織を主に担当しています。
ゼミで指導している内容は、キャリアに関する研究の修士論文や博士論文です。授業では、組織やキャリアについて心理学的な観点から議論をするほか、筑波キャンパスの人間学群心理学類も担当しています。
他には、働く人への心理支援開発研究センターの仕事を兼務していて、企業との共同研究にも取り組んでいます。
経歴に関して教えてください
大学卒業後、日本製粉株式会社(現:株式会社ニップン)という食品メーカーに就職して、約3年間人事の仕事をしていました。
その後、株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)という人材サービス会社に転職して、28歳の時に筑波大学の社会人大学院に入学しました。
今、教員として勤めている筑波大学には、20年前に社会人大学院の学生として通っていたわけです。
昼間は仕事をして、平日の夜間と土曜は大学院で学ぶ生活をしていましたが、途中で出産を機に退職しました。大学院のほうは、育児をしながら修士論文を書き上げて1学期遅れで修了しました。
その後、息子が1歳になるタイミングで株式会社リクルートマネジメントソリューションズで仕事を始めます。企業向けの研修プログラムやアセスメントの開発業務で、最初は週3日の業務請負契約でしたが、途中で正社員として入社しました。トータルで約3年間勤めて、その後は独立して、複数の企業や大学で人事やキャリアに関わる仕事に従事します。
この間、筑波大学の社会人大学院に博士後期課程ができたため、再度仕事をしながら博士後期課程に進学し、2014年に博士号を取得しました。その後、2015年からは大学の専任教員をしています。横浜商科大学、明星大学を経て、2年前に筑波大学に着任して現在に至ります。
現在までのキャリア形成の中で意識していたことを教えてください
私が大切にしているのは、「やらないで後悔するより、やって後悔したほうがいい」ということです。
私は、これまでチャレンジして後悔したことは一度もありません。現状に満足できなくなったり、新たな挑戦をしたくなったりしたら、一歩踏み出します。
たとえば、仕事をしながら大学院で学ぶことは簡単ではありません。しかし、難しそうだからといって躊躇したり、やりたいことを我慢したりするのではなく、できるように工夫すれば良いだけです。
もちろん、思い通りにできないこともあります。私は妊娠してすぐに入院生活を送ることになりました。仕事も大学院も出産・育児もすべて手に入れるのは無理だとわかったため、そのときは大好きな仕事を手放しました。
しかし、その辛さは人生全体から見たらちっぽけなことです。やってみて、上手くいかずに失敗しても、後から振り返れば大したことはありません。むしろ、糧になっているケースのほうが多いと思います。
「やらないで後悔するより、やって後悔したほうがいい」に関連して、「新しい仕事を打診されたら、とりあえず引き受けてみる」点も意識してきました。自分にはできそうにないと思っても、やってみたら意外とできた経験もありますし、成長するチャンスだと捉えています。
これからの展望を教えてください
私の強みは、研究一筋ではなく、民間企業での実務経験があることです。
そのため、理論と実践の架け橋になるような存在になりたいと考えています。
「キャリア焦燥感」や「男性育休」を自身の研究テーマとして掲げて取り組んでいます。今後はより多くの企業と連携しながら大規模な研究に発展させたり、研究知見を人事施策に応用したりすることを目指しています。
これからキャリアを作っていきたい方に送るアドバイスがありましたら、教えてください
私の研究テーマ「キャリア焦燥感」は、修士論文のときから約20年継続して取り組んでいるものです。
社会人大学院を志望した動機にもなっていますが、当時、若手社員の多くが、自分のキャリアについて見通しを持てなくて、漠然と何とかしなきゃと焦って、苦しんでいるように見えました。
「彼らを何とかしたい」という思いが私の研究の原点になっています。
研究から、若手社員は自分より望ましいキャリアを歩む友人・知人と自己を比較する際に、焦りを感じやすいことが明らかになりました。
最近は、友人のSNSを見て焦りを感じるという声をよく聞きます。SNSの投稿なんて、盛って盛って盛った虚構だと思ってください。虚構の友人や知人と自分を比較しても意味がありません。
それよりも、過去の自分と現在の自分を比較して、少しでもできるようになったことに目を向けてほしいです。仕事でミスする回数が減ってきたとか、他の人の立場を考えて仕事ができるようになったとか、担当している仕事の意味が見えてきたとか。
意識しないとわからないようなわずかな変化に目を向けて、自分の成長を感じてください。