弊社創業者(現取締役)へのインタビュー【過去記事】
2023.05.18
こんにちは!株式会社ファンオブライフ マーケティング担当の新保です。
当社は2020年2月に株式会社アガルートグループとなっています。そのタイミングで、創業者であり、当時の代表取締役(現取締役)である佐久間へのインタビューを2020年5月に行いました。
現在2023年5月で3年以上経過していますが、創業の経緯なども語っています。参考までにご覧ください。※事業内容や社員数、男女比率などは当時のままであるため、現在と異なります

佐久間 健光(さくまたけひこ)大学卒業後、2007年にリクルートに入社。求人メディアの営業やブライダル領域の営業、事業開発、商品企画、オンライン学習サービスの事業開発に従事。2015年に株式会社ファンオブライフを設立。2020年2月、ファンオブライフは株式会社アガルートの完全子会社に。
起業のきっかけ
――起業したきっかけを教えてください
一番大きなきっかけは、29歳のときに脳梗塞になって3ヶ月くらい入院したことですね。
退院してから、復帰してリクルートで1年位働いたんですよ。
当時、「英単語サプリ(現スタディサプリEnglish)」の企画をやっていて、アプリのリリースにも携わって、仕事自体はめちゃくちゃおもしろかったんですけど、いうてリクルートは大企業なので、自分の好きには物事決められるわけじゃないんですよね。
自分の力不足もあったと思いますが、社内での考え方の違い、優先順位などで自分の思い描くように物事が進むわけじゃないこと、そもそも意思決定を人や会議体に仰いで意思決定を促すことに我慢ができなくなってしまって。
おそらく病気になっていなかったら気にしてなかったんですけど、退院後にそういうことに時間や自分の力を割きたくないなと思うようになったんですよね。いつ死ぬか分からないとほんとに思うようになって。
でもそれってめちゃくちゃ贅沢なことを言っていて、めちゃくちゃいい条件で、周りも優秀でいい人ばっかりで、さすがにそれは求めすぎだなと。じゃあ自分でやるしかないなと思ったのが起業したきっかけですね。
――今は体調は大丈夫なんでしょうか?
今は全然大丈夫なんですけど、実は後遺症があって、右半身の温度と痛みを感じないんです。冷たいとか温かいとか、痛さもわからないんです。
もう慣れちゃったんですけど、人体って不思議ですよね。だから靴擦れも気付けなくて、帰ったら右足だけ血だらけになってたことがあって、痛みって大事なんだなと(笑)
――起業することに不安はなかったですか?
全然なかったです(笑)
当時、副業もしていて、リクルートの給与と同水準の収入があったので、辞めても普通に暮らせると思ってました。
それに辞めて起業したのが30歳だったんで、2~3年で上手くいかなくてやめても、転職はできるだろと。
――もともと起業しようと思われてたんですか?
全然考えてなかったです。ずっとリクルートにいるつもりもなかったですけど。
だから「いつか起業したい」って話を聞くと、「今しない理由は何なんだっけ?」と思います。
教育業界専門の転職エージェント「Education Career」について
――今の事業はどんなものでしょうか?
人材紹介事業とメディア事業です。
人材紹介事業では、教育業界専門の転職エージェント「Education Career」を運営していて、教育業界でのキャリアに関心のある方に向けてのキャリア支援、教育関連事業者様への中途採用支援を行っています。
教育業界というと学校のような公的教育機関を想像される方が多いのですが、それだけではなくむしろ、通信教育や学習塾・予備校、eラーニング、研修会社、教育系のサービスの開発会社など、民間の教育事業を行っている企業に対する支援が主ですね。
――「Education Career」を始めた経緯を教えてください
リクルート在籍当時、スマホやタブレットなどの普及が進み、いろんな学習アプリやサービスが出ていたんですよね。
こういうデバイスやテクノロジーの進化によって教育産業は大きく変わるだろうなぁと感じてました。
TEDのカーン・アカデミー創業者のサルマン・カーンのプレゼンを見て、感銘を受けたりして。ただ日本ではあまり情報を得る手段がなかったんですよね。
自分で、調べているだけではもったいないと思って、このEdTech領域のメディアでもやろうかなぁと思って「※EdTech Media」をはじめました。
メディアづくりとか自分でやったことはなかったので、WordPressのセッティングから何から、一から全部やりながら身につけていった感じですね。
たまたま始めたタイミングが良くて、日本でもEdTechに注目が集まるタイミングだったので、EdTech領域のスタートアップや関心のある方とつながることが出来て、その界隈の方であれば知っている方も多いメディアにはなったのではないかと思います。
※「EdTech Media」は2022年6月30日をもってクローズしました
サルマン・カーン ビデオによる教育の再発明
――メディアである程度収益が出たから起業したんでしょうか?
いえ、まったく(笑)
EdTech Mediaは完全に自分の趣味的な運用だったので、お小遣い程度の収益はありましたが、事業になるイメージはなかったです。
ただトラフィックとか業界内での知名度とか、人とのネットワークとか活用出来るものはあるなと思っていました。
――それが教育業界の人材紹介業に繋がっていくということですね?
そうですね。独立しようと思ったときに、EdTech Mediaはどうにか活かせるんじゃないかなと考えてました。
EdTech Mediaの絡みでお話する教育系の事業会社やスタートアップは、エンジニアや事業開発担当など積極的に人材を募集していました。
自分がリクルートにいたこともあってか「いい人紹介してくれない?」とか言われることも多かったんですよね。
また、企業側でなく転職を考えている人からも、いい転職先がないか相談されることもありましたし、問い合わせにいい転職先を教えてくれという内容がくることもありました。
EdTech関連の事業の伸びに従って人材採用のニーズも増えていくだろうから領域専門の転職サイト・支援サービスであれば、ある程度事業になると考えて、教育領域の転職サイト・人材紹介業をやろうと決めました。
――想定どおり事業は立ち上がりましたか?
いいえ、まったく(笑)
当初は、EdTech領域にみんな関心があると思ってたんですが、興味あるも何もそんなの知らない人の方がはるかに多いんですよね。
一部の関心の高い人だけが、EdTechといわれる領域やサービスに関心があるだけで、ほとんどの人はないということがわかりました。
この領域だけじゃ無理じゃんと。気づくの遅かったんですが(笑)
――なるほど。そのあとどうやって上手くいきだしたのでしょうか?
教育×テクノロジーの領域は、市場自体が小さく認知度も低いのですが、領域の重なる学習塾・予備校や語学などのスクール関連の事業は市場規模も大きく、採用ニーズが高い企業が多いんですよね。
そういった事業者様や転職を検討する方にも注力するようになって、立ち上がり始めたという感じでしょうか。
起業した当時に比べ、テクノロジー関連の認知度や採用ニーズは年々増えているので、今ではその領域でもご支援出来ることが増えています。
――今の自社の強みはなんでしょう?
教育業界に興味がある人が集まる状態が作れているということですね。
メディアとの連動、マーケティング施策(広告・コンテンツ等)の改善によって、多くの優秀な人材を紹介出来る状態になっています。
結果、教育関連事業者様の採用成功につながって、紹介なども含め、教育領域の求人に関しては魅力的なものが多いのではないかと感じます。
業界に特化しているので、採用背景や事業内容、業界のトレンドなど、ここだけの話というか、詳しいことを求職者さんにお伝えすることもできるので。
これは、大手の紹介会社にはできないかなと思いますね。
某有名教育系事業者の採用支援の実績で、最大手の人材会社よりも実績が多いと言われたときは嬉しかったです。
あとは、社員がいいっていうのもありますね。本当にいい人ばかりだと思います。
人の転職支援なので、嘘をついちゃうとか人としてどうなのとか、そういう倫理観を持っていると厳しい。そういう人がいないっていうのは、素晴らしいなと思っています。
今後も教育領域のキャリア支援、メディア運営で事業拡大
――キャリアアドバイザーを募集している背景を教えてください
おかげさまで、求職者様の集客は順調に推移しています。
より多くの求職者にスピーディに対応出来る体制にしたいと思っていますが、現状の人数では限界があります。
増員して、早く対応出来るようにしたいと思っています。そのための増員ですね。
――キャリアアドバイザーの方は経験者の方が多いのでしょうか?
未経験者が半数以上です。正直、経験者であれば嬉しいですが、だからといって優遇しているわけでもないです。
経験者は大手の紹介会社からの転職者ですね。
――採用にあたっては何を見ているんでしょうか?
レスポンスのスピード(頭の回転の速さ)、実績を出した経験(領域問わず)、わかりやすい文書作成能力、当たり前のことをやり続けられそうか、でしょうか。
教育領域かキャリア領域への興味があった方がいいとは思っていますが必ずしも必要というわけではないと思っています。
上記が全て満たされていなくても、高い学習意欲や好奇心旺盛な方がいいですね。
特に最近、学習意欲や向上していこうとするマインドセットは重要だなと感じています。
――メディアディレクターも募集しているんですよね?
はい。
キャリアアドバイザーほど積極的にという感じではないですが、メディアを推進していける方もぜひ採用したいです。
Education Careerのコンテンツの改善・拡張、新領域のメディアなどやりたいことは多くあるのですが、手をつけられていないことがまだまだあります。
教育やキャリアの領域に関心があって、自社メディアの運営をやりたいという方に是非手伝って頂きたいです。特にコンテンツを作る自信のある方を歓迎しています。
――今いるメンバーについて教えてください
2020年の5月時点で13名です。全員が中途採用です。
出身業界はアパレルやブライダル、メディアなどバラバラですね。教育業界が多いわけではないです。
さっきもちょっと触れましたがいい人多いです。多分、自分が一番性格悪いです(笑)
――女性の方が多いですよね!
そうですね。今は13人中9名が女性です。でも性別は気にしてないですね。
――従業員の平均年齢はどのくらいですか?
自分が35歳(2020年5月時点)で、ボリュームゾーンが20後半から30前半ですね。
平均が多分20後半くらいじゃないですかね。
――入社している方は何が理由で入社されているんでしょう?
人によって濃淡あるとは思うんですが、傾向として3つくらいあります。
1つ目が「領域への興味」です。
教育、EdTech、キャリアの領域に興味を持ってきてくれる方が多いですね。
キャリアアドバイザーをやってみたいという方は、教育領域には関心をお持ちになりやすい傾向もあるのかなと思っています。
教育業界でなくとも、教員免許を持っているとか、塾のバイトしてたとか、前職で従業員育成やってたとかいう方がほとんどですね。結果論なのでなくても全然いいんですが。
2つ目が「インセンティブ制度」です。
キャリアアドバイザーに関しては業績次第でかなりの収入になるような制度設計をしています。
事前にルールは公表していますし、明確なので、自分の業績がダイレクトに評価・報酬に反映されます。
そういった意味で正当な対価や評価がほしいという方は魅力に感じてくれるみたいです。実際ほとんどの方が年収上がっていると思います。
3つ目が「柔軟な働き方」です。
働く時間や場所は自由度が高いです。
お子様を育てながら働いていらっしゃる方も多いですし、ご都合に合わせて柔軟に働いていただくことが可能です。
先程の制度に紐づきますが、働き方がどうであろうと成果を出せる方であれば正当に評価しますし、報酬にも反映されるので、公平だと思います。
――柔軟に働けるから女性が多いんですかね?
そうかもしれないです。
ただ、別にそこを性別で分けているわけではないので、男性で子育てにも積極的に関与したいから、柔軟に働きたいという方も歓迎します。
実際お子さんいる男性も多いです。
M&Aは成長の加速と学びとキャリアを連携する取り組みへのチャレンジ
――会社を売却することを決めた理由はなんですか?
大前提として、会社を売却してもしなくてもどっちでもよかったんですよ。
売却しなくても自分で伸ばせるし、無理にでかくしなくてもよくね?とも思っていて。
起業したときは、一定規模で、高収益な企業にできればいいなと思ってましたし。
ただ実際にそれに近い状態になっていくと幸せだけど物足りなさも感じていて。
また、社員も増えてきて、自分は一定規模で高収益なら幸せだけど、従業員にとってそれってどうなんだろうとも思って。
働き方や良い報酬はもちろん、成長している会社でいろんな機会を積むっていうのが個々人にとって大事だと思うんですよね。
リクルートで成長している事業や機会でいろんな経験をさせてもらったことで、今の自分が作られたとも思いますし。
会社の中に面白い機会をたくさん作りたいな、そのためにもっと会社を成長させようと思って、売却を1つの選択肢として考えるようになったという感じですね。
――他社ではなく、なぜアガルートと一緒になることを選ばれたんですか?
いろんな条件面で折り合ったというのはもちろんありますが、取り組みたいことが一緒だったのが大きいです。
アガルートは、オンラインの資格スクールで、資格取得の支援は出来ていますが、その後のキャリアのサポートできていないと伺っていました。
一方で弊社は、キャリア支援はできているけど、その方のスキルアップや学習支援が出来ているわけではない。
個人のスキル向上・資格取得の支援と転職・キャリア支援をつないでいく取り組みはやっていきたいと思っていたので、面白いことが出来るんじゃないかと思いました。
――アガルート代表の岩崎とは気が合いそうですか?
岩崎さんが想像以上に攻めたがりですよね(笑)
会社を売却したことのある人や友人に話を聞くと結構保守的になってしまうことがあるのかなと思ってたんですが、むしろ逆でいい意味で驚いてます。
いろいろやりたいことがあって、一緒にできると楽しいだろうなと思っていますね。
――従業員の皆さんのリアクションはいかがでしたか?
実は、自分はかなり緊張していたんですよ。
契約締結のときは全く緊張していなかったんですけど、従業員に話すときは結構緊張しました。
いざ話したら、思ってたよりリアクション薄めで驚きました(笑)
まあ、社長も変わらない、職場も変わらない、給与も変わらない、株主だけ変わりますだったら、直接的な影響はないし、特になにも思わないですよね。
――最後に今後のやりたいこと、目標などをお願いします
教育業界の人材事業に関しては、今の規模を数倍に数年でしたいと考えています。
今は中途採用の支援のみをやっていますが、新卒やアルバイト、インターンなど周辺領域への拡張もしたいですね。
また、アガルートグループになったことで、アガルートアカデミーの会員データベースを活用したキャリア事業も出来るので、その事業開発をやっていきたいですね。
教育業界での事業の拡張、アガルートさんの資産を活用した周辺領域への拡張など、やりたいことが多くあります。
今の事業も成長していますし、新たな取り組みも積極的にやっていくので、教育、EdTech、キャリア、新規事業の領域で次の仕事をしてみたいという方は是非応募してみてほしいです。